PH9.0

20代の男の日々の雑記です。

一夫多妻制

本で一夫多妻について読んだ。一夫多妻制とは一人の男に多数の妻を結びつけるシステムだ。現代の西洋、東アジアにはほとんど存在しないが、アフリカ等には残っているらしい。特に西アフリカに集中しているそうだ。

アフリカの一夫多妻制は一人の年長の男に複数の若い妻が嫁ぐという制度だ。年長の男が死ぬとその兄弟に妻たちが財産として引き継がれる。女性そのものの相続を介して年増の兄弟たちの絆が保たれるというシステムだ。女性は財産、つまり"もの"のようにみなされる。

家族制度の歴史を遡ると初期の人類は一夫一妻の核家族を中心に活動していたらしい。現在の西洋の核家族に近い構造だ。若いカップルは一時的に両親の元で暮らしたり、完全に核家族として独立したりと、可塑性のある暮らしをしていたとのこと。

しかし、農業が始まり、土地が手狭になり、財産の相続について真剣に考えなければならなくなると、財産は一人の男子に相続されるようになる。そうなると、長男夫婦と両親は同居し、残りの兄弟姉妹は核家族としてばらばらになるという家族構成となる。その次の最終段階としては兄弟と親の同居に行き着くという。その段階では兄弟たちの絆が重要となり、男系社会としての度合いがさらに強くなる。

原初の核家族は一夫多妻への可能性も持っていたが、男系制ではなく、一夫多妻が特に大きな割合を占めるわけではなかった。しかし、アフリカでは男系化が進行するにつれ、一夫多妻が頻繁に行われるようになったという。その理由についてはよくわからないが、富裕な男性にのみ相続がされ、富の集中化が起きたからなのではないかと思う。また、すでに書いた通り、西アフリカの一部では兄弟たちの絆は妻たちそのものの相続によって保たれる。ここでは原初的な核家族が持っていた恋愛的な要素は消え失せ、複雑な家族制度という個人の自由意志のないシステムによって人々が突き動かされているように見える。

このように一夫多妻制は恋愛的な要素を削ぎ落とした、少々味気ないシステムなのだ。