PH9.0

20代の男の日々の雑記です。

秘密警察

地下倉庫にはガラクタが詰め込まれており、人が休めるスペースは隅に置かれたベッドだけであった。大抵の時間、男はそのベッドの上で休んでいた。いつ秘密警察が自分を発見するかわからないという、緊張感の下、男は数ヶ月過ごしてきた。ベッドの上で男は倉庫に散らばっていた本を丹念に読み漁ってきた。思想、歴史、科学史地政学、小説等様々な分野の本を読み漁った。数ヶ月、集中的な読書を行ったことで、男は思想と思考を以前に増してさらに深めていた。彼の内心はかなり複雑なものとなっていた。以前は秘密警察に対し恐怖を抱いていたが、数ヶ月の間にそれは考察の対象となった。秘密警察について考えるとき彼は冷静にその行動原理について考えることができるようになった。読書は彼の秘密警察対する戦いにおけるメリットをもたらしたのだ。